弁護士法人萩原 鹿児島シティ法律事務所のブログ

2011年6月

2011年6月の記事一覧です。

民法4-併存的債務引受の成立要件

2011年06月30日

「民法(債権関係)改正中間的論点整理」のコメント第4弾として、併存的債務引受の要件(併存的債務引受を成立させるためには、どのようなことが必要か、ということです。)について、コメントしてみたいと思います。

1. 論点箇所
「第15 債務引受」のうち、「2 併存的債務引受」「(1) 併存的債務引受の要件」(NBL953号付録54頁)

2. 同論点に関するコメント
併存的債務引受の要件を定める規定を民法に設けることについて、積極的な必要性を見出すことができない。
理論的に、(1)債務者及び引受人の合意がある場合や、(2)債権者及び引受人の合意がある場合に、併存的債務引受ができるとしても、債権者、債務者及び引受人の三者間の合意を得た上で併存的債務引受を成立させることが、原則としてより実践的であり、取引の安全を確保する上でも望ましい。
また、第三者のためにする契約では、受益者による受益の意思表示が必要であると考えられ、併存的債務引受が第三者のためにする契約となる場合があることから、(1)債務者及び引受人の合意がある場合でも、債権者の承諾(合意)が必要と考えることが、より整合的と考えられる。
したがって、やはり、(1)(2)を併存的債務引受の要件として民法に規定することに、積極的な必要性を見出すことができない。

3.理由
「2. 同論点に関するコメント」にある(1)(2)の場合というのは、私が大学法学部で民法を学んでいた時から、併存的債務引受が成立するための要件として教わっていたことです。
いずれも昔からの判例の裏付けがあり、これを条文化しようとする考え方もわからなくはないです。

しかし、(1)や(2)の合意だけで、併存的債務引受が成立し、例えば債務整理・任意整理の究極的な目標である生活再建などの目的が達せられるとは考えられず、実務家として、不自然な感覚を抱かざるを得ません。

例えば、6月28日のブログ記事で書いた、債務整理・任意整理で活用する債務引受においては、債権者の同意を得た上での債務引受、すなわち、債務者、引受人、債権者たる金融機関との間での合意書(和解契約書)を作成することが実践的であると考えられ、(1)債務者と引受人との合意で併存的債務引受が成立し、これで事足りる、とすることはできません。
もちろん、(1)債務者と引受人との合意で併存的債務引受を成立させても、実質的な問題が生じない場合もあると考えられます。

また、別の機会に触れたいと思いますが、第三者のためにする契約(NBL953号付録83頁)では、やはり、受益者による受益の意思表示が必要であると思われ、「受益者による受益の意思表示」と、「併存的債務引受における債権者の合意」が同時に行われることもあることから、(1)の場合でも、債権者の承諾が必要な場合があると考えるべきです。

さらに、(2)債権者及び引受人の合意がある場合に、併存的債務引受ができることが多くあるとしても、それだけでは問題が生じる(取引の安全を害する)場合があると思われます。
例えば、貸金業者に対する過払金返還請求権を持つ債権者(「過払金債権者」)がいるとして、債務者(同貸金業者)が過払金を返還することができず、同貸金業者を再生させようとするスポンサーが、過払金債権者全員に対して、同貸金業者が負っている金銭消費貸借契約に基づく債務(過払金返還債務を含みます。)を併存的に引き受けたとします。

まだ過払金の返還請求をしていない(取引履歴を取り寄せていない)過払金債権者は、自分が持っている過払金返還請求権の金額を知るために、取引履歴を取り寄せようとするでしょう。
スポンサーが上記併存的債務引受をしたのであれば、過払金返還債務のみならず、貸金業者が貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として、信義則上、保存している業務帳簿(貸金業法19条)に基づいて取引履歴を開示すべきとされる、取引履歴開示義務(最高裁平成17年7月19日判決民集59巻6号1783頁)をも引き受けることになると考えられますが、スポンサーが取引履歴開示義務まで履行するためには、債務者たる貸金業者から、業務帳簿の原本、写し、又は電磁的記録を受け取ったり、取引履歴の写しや電磁的記録を受け取ったりしない限り、取引履歴開示義務を履行することはできません。
また、取引履歴開示義務は引き受けないとしても、返還すべき過払金の金額を把握するために、また、支払後の求償権確保のために、スポンサーは、いくら過払金を返還すべきかについて、債務者の同意を得ようとするでしょう。
要するに、債務者の合意がないと、引受人が履行できない債務(上記の例では、取引履歴開示義務や過払金返還債務)も存在すると考えられ、(2)債権者及び引受人の合意がある場合を、併存的債務引受の要件として定めることに、違和感を感じます(もちろん、(2)債権者及び引受人の合意のみによる併存的債務引受を成立させてもよいと考えられる場合もあります。)。

以上のように、契約上の地位の譲渡(移転)を含め、併存的債務引受は、「契約自由の原則」が大きくはたらく場面であると思われるため、(1)(2)の場合だけを併存的債務引受の要件として民法に規定することは、問題がないとはいえないと思われます。

鹿児島シティ法律事務所 弁護士 萩原隆志

あくね往来記~道の駅とアジ(鯵)刺定食

2011年06月29日

今日は、仕事の関係で鹿児島県阿久根(あくね)市まで車で行ってきました。
鹿児島市内から阿久根市中心部まで、片道約2時間くらいかかりました。

午前中、仕事の予定まで時間ができたので、途中「道の駅阿久根」に寄りました。
道の駅阿久根から午前中に見た、海(天草灘/東シナ海)の様子です。

道の駅から天草灘・東シナ海を見た様子 鹿児島シティ法律事務所 20110626のサムネール画像

仕事を終えて、再び「道の駅阿久根」に寄り、レストランでお昼を頂きました。

道の駅阿久根(2) 鹿児島シティ法律事務所 20110629のサムネール画像のサムネール画像道の駅阿久根(1) 鹿児島シティ法律事務所 20110629のサムネール画像のサムネール画像


阿久根といえば海産物と思ったので、アジ(あじ/鯵)のお刺身定食(840円、消費税込)を注文しました。

道の駅阿久根 アジ刺定食 20110629

アジのお刺身、冷奴(お豆腐。万能ねぎとしょうが入り。)、小鉢(豆入りひじき煮)、お味噌汁(万能ねぎ、油揚げ入り。)、ごはん、漬物(沢庵)が入っており、とても美味しかったです。
特に、アジのお刺身、大根のつま、しその葉、わさびとお醤油(なお、私は、鯉のあらいなどを酢味噌で頂くことがあります。7月2日のブログ記事をご参照ください。)のハーモニーは絶妙で、炊き立てのごはんとの相性も素晴らしかったです。
ごちそうさまでした。
帰りがけに、お土産としてあわびうにとイカキムチを買いました。
お土産に買ったあわびうにとイカキムチは、祖母と両親にプレゼントしました。
また、あくねに仕事や遊びに行きたいと思いました。

鹿児島シティ法律事務所 弁護士 萩原隆志

いよいよ夏到来!

2011年06月28日

鹿児島地方気象台によりますと、今日(6月28日)、九州南部が梅雨明けしたと見られるとのことです。
つい先日まで雨がだいぶ降っていましたが、今日は天気がとても良く、暑い1日でした。
事務所から見えた、澄み渡った青空の写真をお届けします。

夏到来! 鹿児島シティ法律事務所 20110628(1)桜島方面.JPG

 

夏到来! 鹿児島シティ法律事務所 20110628 (2)山形屋方面.JPG

いよいよ夏到来ですね。
明るい時間が長く続くこともあって、夏は、いつも以上に仕事がはかどる季節のように思います。

鹿児島シティ法律事務所 弁護士 萩原隆志

 

民法3-債務引受・過払金返還請求等を前提に

2011年06月28日

「民法(債権関係)改正中間的論点整理」のコメント第3弾として、債務引受に関する論点について、コメントしてみたいと思います。

1. 論点箇所
「第15 債務引受」のうち、「1 総論(債務引受に関する規定の要否)」(NBL953号付録54頁)

2. 同論点に関するコメント
債務引受の要件・効果を定める規定を民法に設けることについて、積極的な必要性をあまり見出すことができないが、新規定を設ける場合には、第三者のためにする契約に関する規定などとの整合性を図る必要があり、慎重な検討を要すると思われる。

3. 理由
債務引受には、主に、(1)債務者が負っている債務を、別の当事者が債務者と同じ立場で債務を引き受け、従来の債務者も併存的に債務者となる併存的債務引受と、(2)債務者が債務の負担から免れるかわりに、新たな引受人が債務を負うことになる、免責的債務引受があります。

私も、弁護士として仕事をしていて、この債務引受は多く活用します。
例えば、過払金返還請求を伴う任意整理、債務整理のご依頼において、その他のご家族も多重債務となっていて、同じ債権者に対する債務を抱えていらっしゃるなどの場合には、この債務引受を活用して、一挙に多重債務を解消する(又は軽減する)ことが可能となる場合があります。
また、離婚(再婚支援)のご依頼において、財産分与の対象として住宅などの不動産がある場合には、不動産(住宅)名義の変更に伴う住宅ローンの返済方法の変更を目的として、この債務引受の活用(及び債権者である地域金融機関や銀行などの金融機関との交渉)を検討することがあります。
契約上の地位の譲渡と同じように、実務上、よく登場する概念であるのに、民法に規定がないことについて、以前から不思議に思っておりました。
債務整理・任意整理、多重債務問題、離婚問題、債権回収、金融法務、組織再編などのプロとして、いまさら債務引受の規定を民法に定める必要性がないように感じていますが、最低限の規定は設けてもよいような印象は持っています。
もっとも、特に併存的債務引受については、第三者のためにする契約(現行民法537条以下)となる場面があるため、現行民法及び改正後の民法との規定との整合性には慎重な検討を要すると思われます。

鹿児島シティ法律事務所 弁護士 萩原隆志

綺麗な胡蝶蘭を頂き有難うございます。

2011年06月25日

事務所を設立して、はや4か月(1年の3分の1)が経ちました。
当事務所の設立後間もないころから、相談者・依頼者の皆様、友人、親族、先輩経営者弁護士の先生方、その他士業の先生方からたくさんのお花を頂き、大変感激しております。

先日、私の中学・高校時代以来の友人達から、新たに綺麗なお花(胡蝶蘭)を頂きました!
とてもうれしかったので、本ブログに写真をアップします。

鹿児島シティ法律事務所 (弁護士萩原隆志) 胡蝶蘭(1).JPG

 

鹿児島シティ法律事務所 (弁護士萩原隆志) 胡蝶蘭(2).JPG


皆中学・高校時代から親しくしている友人で、各方面で活躍しています。
きっと忙しいと思うのですが、気を遣ってくれてうれしかったです。
ありがとうございます。
また焼酎でも飲みながら、近況報告や思い出話に花を咲かせたいものですね。


鹿児島シティ法律事務所 弁護士 萩原隆志

クールビズを実施します!

2011年06月25日

当事務所では、本年10月ころまで、節電、地球環境維持・向上、業務の効率化などを目的として、クールビズを実施することと致しました。
私も、原則として、ネクタイ及び上着を着用しないで執務し、相談者、依頼者の皆様との法律相談、打合せをさせて頂くことと致しました。
当事務所に来訪される、相談者、依頼者の皆様におかれましても、気軽な服装で当事務所までお越しくださいませ。

鹿児島シティ法律事務所 弁護士 萩原隆志

民法2-不動産賃貸借契約・保証債務

2011年06月22日

「民法(債権関係)改正中間的論点整理」のコメント第2弾として、不動産所有者、市民の皆様両方に身近なテーマである、不動産(建物)賃貸借契約と同契約更新後の保証債務の存続について、コメントしてみたいと思います。

1. 論点箇所
「第12 保証債務」のうち、「7 根保証」「(1) 規定の適用範囲の拡大」(NBL953号付録44頁)及び「第45 賃貸借」「3 賃貸借と第三者との関係」「(4) 敷金返還債務の承継」(同付録136頁)。

2. 同論点に関するコメント
貸金等根保証契約に関する保証人保護の規定(民法465条の2から465条の5までの規定)は、不動産(建物)賃貸借契約における保証人の責任に適用する必要はないと考えます。
すなわち、「貸金等債務」(民法465条の2第1項)には、不動産(建物)賃貸借契約によって負担する債務を含める必要はないと考えます。
ただし、現行の民法619条2項本文を改正し、不動産(建物)賃貸借契約における保証人の責任は、建物賃貸借契約更新後も原則として存続し、賃貸人及び保証人が特段の合意をした場合には、この限りでない旨を民法又は借地借家法(同法26条4項を新設するなどして)において定めるべきです。

3. 理由
(1)民法619条2項本文と判例、実務
建物(アパート、マンション、オフィス、店舗など)の賃貸借契約において、建物のオーナー(所有者)は、保証人を得た上で、建物賃貸借契約を締結することが通常です。
この建物賃貸借契約の保証人の責任が、賃貸借契約更新後も存続するか否かが争われることがあります。
この点について、最高裁平成9年11月13日判例タイムズ969号126頁は、「期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、保証人は、・・・更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れないというべきである」として、建物賃貸借契約の保証人が、賃貸借契約更新後も、原則として保証債務を負う旨を明らかにしています。

また、近時建設されたマンション(区分所有建物)やオフィスビルなどに入居する方が締結する建物賃貸借契約書では、賃貸借契約更新後も、保証人の責任は存続すると定めていることが一般的です。

加えて、建物の借主が賃料を滞納しても、未払賃料が急激に増えるわけではなく、数か月分の賃料を滞納した場合には、建物賃貸借契約を解除し、建物退去明渡しを求める実務を促すことによって、保証人の責任が過大となることを防止することができます。

また、当初の賃貸借契約期間についてのみ、保証人となることを引き受けるのであれば、保証人は、その旨賃貸借契約書に記載し、「賃貸借契約更新後は、保証人は、責任を負わない。」と賃貸借契約書に明記すれば足ります。

そして、建物のオーナーが安心して建物を賃貸できるようにし、不動産市場を活性化させるためにも、賃貸借契約更新後も保証人の責任が存続するとする方が好ましいといえます。

したがって、建物賃貸借契約の保証人の責任が、賃貸借契約更新後も、原則として存続するとする、最高裁判例及び近時の建物賃貸借契約における保証契約実務について、私も賛成です。

そうすると、「従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。」とする現行民法619条2項本文は、上記最高裁判例や近時広がりを見せている建物賃貸借契約における保証契約実務に反する規定となっている、ということができるのではないでしょうか。
なお、この論点に関して規定した、借地借家法の規定は、見当たりません。

(2)民法619条2項本文を民法(債権関係)改正の議論の対象とするべき
ところが、「民法(債権関係)改正中間的論点整理」では、民法619条2項本文を、改正の議論の対象としていないようです。
私が述べている論点が、あまり重要ではない(!)からなのかもしれませんが、判例や解釈によって解決するのではなく、国民一人ひとりが、条文を読むことによってすぐにわかる民法とすることが、今回の民法改正の趣旨の一つであると理解しています。
そうであるなら、やはり、民法619条2項本文を民法(債権関係)改正の議論の対象とするべきと思われます。

建物賃貸借契約書にも、先ほど触れた近時作成、締結されるもの以外にも、更新後の保証人の責任について特に記載していない賃貸借契約書も依然とあると思われ、本論点に関する紛争を予防するためにも、民法619条2項本文を民法改正の議論の対象とするべきです。

他方で、昔から、貸金などの保証人になった方が、保証人になった後相当期間が経過した後に、多額の未払債務の支払を請求され、場合によっては破綻に追い込まれる事例が後を絶ちません。
このような保証人保護の要請もあって、平成16年に民法が改正され、貸金等債務の保証人となった方の責任の範囲を限定する規定として、民法465条の2から同法465条の4の規定が設けられています。
不動産賃貸借契約の保証人の責任を、かかる貸金等根保証契約に係る保護規定の対象とすることも一案ですが、こと建物賃貸借契約については、そこまでする必要はないと思われます。


鹿児島シティ法律事務所 弁護士 萩原隆志

民法1-連帯債務・JV協定書を前提に

2011年06月19日

先日ご紹介した「民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理」(本ブログでは、「民法(債権関係)改正中間的論点整理」といいます。)のコメント第1弾として、連帯債務の要件について、コメントしてみたいと思います。

1.  論点箇所
連帯債務の成立要件のうち、「第11 多数当事者の債権及び債務」「1 債務者が複数の場合」「(2)連帯債務」「ア 要件」「(イ)商法511条第1項の一般ルール化」の部分(NBL953号付録35頁)。

2. 同論点に関するコメント
民事の一般ルールとして、数人が一個の行為によって債務を負担した場合には広く連帯債務の成立を認めるとするべきではなく、事業に関するものに限定するべきと考えます。

3. 理由
連帯債務は、私が弁護士として仕事をしていて、時々出てくる概念ですが(過払金返還請求訴訟の一部の類型で出てきましたね。)、商法511条1項(数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する。)の規定を民事の規定として一般ルール化しようとする背景には、商法511条1項の規定については、取引の安全を図る必要性は商取引のみならず民事取引にも妥当することから、民事の一般ルールとすべきであるとの見解があるそうです(民法部会資料8-2の7頁)。
しかし、商法511条1項を民事の一般ルールとするには相当ではなく、事業に関するものに限り、民事の一般ルールとするべきと考えます。

(1) 素朴な疑問
この連帯債務の具体例として、私が学生のころに勉強したのは、「サークルの懇親会を居酒屋で開催した場合に、居酒屋に支払う飲食代は、懇親会に参加したサークル部員は、飲食代について連帯債務を負う。したがって、飲食代を支払わなかった部員の飲食代金分は、他の部員が分割などして支払わなければならない。」というものです。
常識的に考えて、サークルの懇親会や同窓会での飲食代を連帯債務とし、自己負担分を支払わなかった参加者の負担分を、他の参加者が連帯して支払う、ということには素直にうなずけます。
しかし、私が近時よく参加する、友人の結婚式の2次会などはどうでしょうか。
同じ懇親会でも、参加者は様々な出身母体(新郎・新婦の小学校、中学校、高校又は大学の友人、職場の同僚、上司又は後輩、親族など)から構成されており、2次会に出席しても、全く会話もせず、その場限りで別れてしまう、という方もいます。
そのような方が何らかの理由で会費を支払わなかった場合に、他の参加者が、会費を支払わなかった方の会費を負担しなければならないのでしょうか。
会費を負担しなければならないとすることに、違和感を感じる方はいると思われ、商法511条1項をそのまま民事の一般ルールとすることは、社会学的に問題がないとはいえないと思われます。

(2) 事業に関する債務負担行為であれば、認められる
これに対して、事業に関する債務負担行為であれば、明治時代以来、長く商法511条1項が複数名の者の商行為による債務負担行為に適用されてきた実績もあり、問題はないと考えます。
比較的近時の判例でも、「共同企業体の構成員に会社がある場合、共同企業体がその事業のために第三者に対して負担した債務につき構成員が負う債務は、商法511条1項により連帯債務となる。」とする、最高裁平成10年4月14日判決民集52巻3号813頁があり、同判例(この判例のリーディングケースとして、東京地裁平成9年2月27日判決判例タイムズ944号243頁があります。)と整合的な改正になると考えられます。

上記判例にて登場する共同企業体とは、いわゆるジョイント・ベンチャー(JV)と呼ばれるもので、いくつかの形態がありますが、主たるものは民法上の組合契約(民法667条以下)の形態によって結成されていると理解しています。
ジョイント・ベンチャーの代表例である、特定建設工事共同企業体の構成員が締結する組合契約である、「特定建設工事共同企業体協定書(甲型)」においても、ジョイント・ベンチャーを結成する建設会社が、「建設工事の請負契約の履行及び下請契約その他の建設工事の実施に伴い当企業体が負担する債務の履行に関し、連帯して責任を負うものとする。」(同協定書第10条)とされており、広く普及していると考えられます。

民法上の組合の構成員は、組合が負う債務について、「損失分担の割合」により、または平等の割合で責任を負うことが原則(民法675条)ですが、①組合の構成員が会社であり、②組合の事業のために第三者に負担した債務につき、組合の構成員は、同債務につき連帯債務を負うとされているのです。
このように、民法上の組合契約において、組合の構成員が原則として平等の割合で責任を負うにとどまっている(=連帯債務を負わない)こととのバランスからも、数人の者が一人のためまたは全員のためとなる行為によって負担した債務につき、連帯債務が成立するとする場面は、限定的に考えるべきと思われます。

建設工事に限定されますが、上記のような実態もあることに鑑み、事業者概念を民法に設けることとあわせて、数人が事業に関する一個の行為によって債務を負担した場合には、連帯債務の成立を認めて構わない、と考えます。

鹿児島シティ法律事務所 弁護士 萩原隆志

民法とはどんな法律?

2011年06月18日

昨日(17日です。)、一昨日(16日)と、鹿児島は雨が続いています。
今日(18日)も雨だそうです、鹿児島はまだまだ梅雨が続きますね。
車の運転や土砂崩れなどには、皆様十分に気を付けて頂きたいと思います。

さて、先日の記事でコメントしてみたいと申し上げた、「民法」という法律について、あまりなじみがない方も多くいらっしゃると思いますので、ごく簡単に説明してみたいと思います。
民法は、いわゆる「六法」に含まれる法律で、契約、商取引、金融取引、親族、相続など、市民、事業者の皆様の身近で日常的な場面で多く適用される法律です。
私の事務所でも多く取扱うことがある、債務整理(利息制限法、不当利得法)、離婚(再婚支援)、相続、不動産問題(自社ビル、所有土地建物、賃貸借など)、契約書作成の仕事等々で使うことが多い、基本的なルールを定めた法律です。

日本の近現代における法令の歴史の中で見ても、幕末の時期に締結された不平等条約の改正を目的とする、西洋流の基本法典整備の一環として、1896年(明治29年)から1898年(明治31年)にかけて制定、施行された法律ですので、近現代における法令の中では最も伝統のある法律の一つといえます。
私が「民法」という法律の名前を知ったのは、おそらく、高校時代の日本史の授業においてであったと思います(もし中学校社会科で教わっていましたら、中学・高校時代の恩師の先生ごめんなさい。)。

普段の法律相談やご依頼を頂く際には、私は、民法という法律を頻繁に使っています。
なぜなら、市民の皆様や法人の皆様が取引をされる際に、契約書(特に、ある程度正確に作成された契約書です。)を締結されていれば、既に締結されている契約書の内容をもとに、更なる契約交渉や今後の採るべき措置を決めればよいのですが、普段の法律相談などでは、①契約書を締結しないで、一応取引を実行した、②契約書を締結したけれど、争点となっている事項について合意していない、などなどの場面に多く遭遇します。
それらの場面で、その後どのように話し合いを進め、また訴訟となった場合(もめた場合)にはどのような結果となる可能性が高いかを考える際に、私なりの基準(原理原則)を導くために、よく参照する法律が民法(及び民法の条文に関係する判例、裁判例、関連するルール)なのです。

これまで、法務省で、民法を「市民のための民法」(①変化の多い社会・経済に対応する民法、②国民一般にわかりやすい民法)とするために、法務省法制審議会民法(債権関係)部会というところで、約1年半以上もかけて、民法改正の議論がなされています(学者の先生方は、それよりもずっと前から議論をされています。)。
これまで、普段の業務に追われていたこともあり、法務省で行われている議論を厳密に追いかけていたわけではありませんが、同部会において、「民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理」が決定され、公表されておりますので、私が意見できる部分に限り、私なりの意見を言ってみたいと思います。
「論点整理」等は、以下のURLに掲載されています。

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900074.html

今回の民法改正が、日本という国における民法運用の自前の実績を踏まえ、民法を自前の法律とするための改正であると理解しています。
そこで、私は、①自前の民法とするための改正に向けて、②地元鹿児島・九州における実務経験をはじめとする(自前の)弁護士としての経験を踏まえて、③自前の弁護士事務所(当事務所)及び当事務所オフィシャルサイトに付随する本ブログから、同「論点整理」に関する意見を、わずかながら述べてみたいと思います。
あわよくば、8月1日まで行われている、パブリック・コメントにもチャレンジしてみたいと思います。

鹿児島シティ法律事務所 弁護士 萩原隆志

民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理について

2011年06月16日

NBL953号(2011.5.15)の付録として、「民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理」を頂きました。
契約書が作成、締結されていない場合に多く遭遇する地方都市(鹿児島・九州)に在る弁護士として、特にここ3年近く、ご相談や訴訟の場面で、民法にはほぼ毎日触れているという実感を持っています。
特に業務で取り扱ったことがあり、ある程度のリサーチを行って、かつ、実務的な感覚を得ることができた論点整理の箇所について、この場を借りてコメントしてみたいと思います。

鹿児島シティ法律事務所 弁護士 萩原隆志