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モラハラによる別居、離婚の法律相談のご案内

第1 モラハラとは

モラルハラスメント(以下「モラハラ」といいます。)とは、法律上の定義はありませんが、「精神的な暴力」といわれています。

配偶者の言動がモラハラにあたるとの評価は、当事者の主観が大きく影響します。当事者が配偶者の言動によって、一緒に婚姻生活を継続することが困難であると考えれば、配偶者の言動は、モラハラにあたるでしょう。

しかし、モラハラ行為者である配偶者は、自身の言動に対する問題意識がなく、それによって他方配偶者が精神的に追い詰められている状態であると認識しておらず、離婚に向けた話し合いが難航する傾向にあります。

今日では、モラハラの存在が社会的認知を獲得しつつあり、離婚原因として主張されるようになりました。モラハラという概念は、現状では、未だ法的概念として成熟していない状況ではありますが、これらの観念を明確化して、離婚裁判などを含めた法的手続においても適切な位置づけを与えるべきであると提唱されています。

第2 モラハラを行う配偶者と離婚するためには

モラハラを行う配偶者と離婚するためには、モラハラと評価できる具体的な行為や態度があったことにより、第三者が見ても配偶者の具体的行為が婚姻破綻に重大な影響を及ぼしたと認められる必要があります。

第三者にモラハラの存在を認めてもらうには、モラハラと評価できる言動があったことの根拠とするために、日ごろから配偶者の言動をメモにしておくことや、配偶者との会話を録音しておくことなどを心掛け、意識してモラハラといえる言動があったといえる証拠の確保をしておくことが望ましいといえます。

もっとも、裁判所における離婚事由の判断は、モラハラがあったことの有無を探るというより、むしろ、夫婦間の溝の拡大など客観的な面を示す客観的事実や、離婚をやむなしとする夫婦の主観的な面を表す客観的事実を認定判断することになります。

そのため、モラハラに関する証拠を多く集めなければ離婚が全くできない、ということにはなりません。あくまでも、裁判所では主に、婚姻破綻とないっているか否かの点が審理の中心となるのです。

また、婚姻破綻とは、数年間の別居という客観的な事実が重視される傾向にあります。モラハラによる精神的苦痛から逃れるためにも、婚姻破綻を裏付けるためにも、モラハラを行う配偶者と別居するなど距離を置くことも、離婚に向けた準備として重要です。