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民法7-契約上の地位の譲渡・移転(2)

「民法(債権関係)改正中間的論点整理」のコメント第7弾として、契約上の地位の譲渡(契約上の地位の移転)の効果について、コメントしてみたいと思います。

1. 論点箇所
「第16 契約上の地位の移転(譲渡)」のうち、「3 契約上の地位の移転の効果等」(NBL953号付録57頁)

2. 同論点に関するコメント
契約上の地位の譲渡の効果等を定める規定を設けることについて、積極的な必要性を見出すことができない。
(1)譲渡人と契約の相手方との間の、既発生の債権債務を譲受人に移転させるか否か、(2)契約に伴い発生する付随的な債権債務も移転させるか否か、(3)契約上の地位の譲渡によって譲渡人が当然に免責されるか否かについても、譲渡人、譲受人及び契約の相手方間の合意(契約自由の原則)に委ねるべきである。

3. 理由
契約上の地位の譲渡が行われた場合、譲受人は、譲渡人と契約の相手との間の包括的な法律関係(権利義務関係)を、同一性を保持したまますべて譲り受けることになると考えられます。

しかし、上記2.(1)から(3)については、どのように規律するかは、譲渡人、譲受人及び契約の相手方間の合意(契約自由の原則)によって、契約書を作成し、柔軟に決定するべき問題と考えます。
また、私は、併存的債務引受の効果を定める規定を民法に設けることについて、積極的な必要性を見出すことができないことと同様に、免責的債務引受の効果を定める規定を民法に設ける必要もないと考えております(7月7日のブログ記事をご参照ください。)。
併存的債務引受の効果、免責的債務引受の効果を定める規定を民法に設けないのであれば、債務引受を構成要素とすると考えられる、契約上の地位の譲渡の効果を定める規定を、民法に設ける必要もないと考えます。

また、(3)契約上の地位の譲渡によって譲渡人が当然に免責されるか否かについては、実務上、争いになることがあると考えられます。
この論点については、法学部の学生の皆さんがお読みになる民法の教科書などではあまり触れられていないと思われますが、私がこれまでリサーチしてきた限りでは、学者の先生方の間でも見解が分かれているように思われます。
いずれにしても、契約上の地位の譲渡の効果等は、実務上の要請に沿って、譲渡人、譲受人及び契約の相手方間で契約書を作成し、柔軟に決定するべき問題と考えます。

鹿児島シティ法律事務所 弁護士 萩原隆志