知的財産権の法律相談
ビジネスのIT化・グローバル化が加速するにつれ、知的財産権は、「知的財産立国」日本の地方の企業においても重要性を増しており、貴社の事業を継続・成長させる経営資源である反面、その重要性ゆえに不当な知的財産権の利用など思わぬトラブルを招く場合も増えてきています。
当事務所では、商標や著作権を中心に、知的財産権に関連した業務を行っております。
- 1. 商標権
- 2. 著作権
- 3. 知的財産権のビジネスへの活用
- 4. 他人(他社)の知的財産権が貴社の事業の妨げとなる場合
- 5. 解決事例/商標権譲渡契約により、商標権を確保した事例
- 6. ご依頼、ご相談、お問合せについて
1. 商標権
商標権を取得するには、特許庁に対して出願し、審査を受け登録を受ける必要があります。
商標の出願前には、不登録事由(拒絶理由)がないかを調査検討することが必要不可欠です。拒絶理由としては、公序良俗違反、他人の周知な商標や登録商標との類似、商品の出所混同や品質誤認の可能性の存在等があります。
また、出願に際しては、指定商品・役務の選択が重要となります。一つの出願の範囲(同じ出願手数料)で不必要に指定商品等の範囲を広げると、その不必要部分に拒絶理由があった場合、出願全体が拒絶されてしまいます。
出願の後、特許庁から拒絶理由を通知された場合、その解消のために意見書や手続補正書を提出する必要があり、それでもなお拒絶査定を受けた場合は、不服審判さらには審決取消訴訟の手続を利用することができます。
登録する旨の査定を受ければ、登録料を納付し登録がなされます。存続期間は10年です。
商標は通常長く使用するほど使用者の事業活動によって信用やブランドとしての価値が増します。そこで商標法には、特許法等と異なり、存続期間の更新制度が定められており、この制度を繰り返し利用することで長期にわたり権利を存続させることができます。
2. 著作権
著作権は、著作物の創作時に発生し、申請等の手続は必要ありません。ここで著作物とは、例えば文芸作品、美術、音楽、映画、コンピュータ・プログラムが該当します。
著作権は著作者(実際に創作した者)が有する(著作権法第17条第1項)ので、著作物の創作を他人に委託(注文)した場合、著作権は委託(注文)を受けた他人が有することになります。もし委託者(発注者)が、納品された著作物を利用しようとする場合には、委託に関する契約と同時に、利用に関する契約も締結しておく必要があります。なお、一定の条件を満たせば、実際に創作した者ではなくその者が所属している会社等が著作者となる場合もあります(職務著作・法人著作)。
保護期間は、著作物の創作時から、原則として著作者の死後50年までです(映画は公表後70年まで)。この期間に他人が著作物を利用するには、著作権者の許諾が必要となり、その際には著作物利用許諾契約を締結する必要があります。ただし、私的使用のための複製や教育における一定の利用等、例外的に許諾不要な場合もあります(著作権法第30条ないし第47条の10)。
また、著作権は先に述べたとおり、著作物の創作時に何らの手続を要せず発生する権利ですが、当該著作権が譲渡された場合の取引の安全を確保するなどの目的で、登録制度を利用することもできます。
3. 知的財産権のビジネスへの活用
保有する知的財産権(主に特許権、実用新案権、意匠権、著名な商標に関する商標権及び著作権)をビジネスにおいて活用するために、有用と考えられる方法をいくつかご紹介いたします。
1. 事業化
他人(他社)の参入を防ぎ、その結果取引先との交渉でも優位に立てるという独占権の強みを最大限利用して自ら事業化することが考えられます。
2. 権利譲渡
権利自体を有償で譲り渡すことによって利益を得ることも考えられます。通常、権利の譲渡しにより権利者は比較的多額の金銭を得ることになりますが、権利自体が手元からなくなってしまうわけですので、慎重な事業上の判断が求められます。
3. 使用許諾(ライセンス)
資金面等で自社での事業化が困難な場合には、権利を保有したまま他社に使用権を付与し、その対価を得る方法も考えられます。権利者としては、対価の算出方法、許諾期間、使用範囲の限定など、将来の個々の事情に即した内容を盛り込んだ契約を締結することが重要となります。
4. 他人(他社)の知的財産権が貴社の事業の妨げとなる場合
本来権利化されるべきではない他人(他社)による出願を防ぐ制度があります。ここでは二つの制度をご紹介いたします。
1. 無効審判等
不当な出願により発生した権利を無効にする審判制度があります(特許法第123条、実用新案法第37条、意匠法第48条、商標法第46条)。
また、出願段階でその出願が登録要件を満たしていない等の情報を特許庁に対して提供できる制度もあります(特許法施行規則13条の2、実用新案法施行規則22条、商標法施行規則19条)。特に商標については、公報発行日から2月以内に登録異議申立てをして登録を取り消すこともできます(商標法第43条の2)。
2. 特許の防衛出願
特許については、出願から1年6月で公報に出願内容が掲載され(出願公開、特許法第64条)、審査を受けるには別途出願日から3年以内に審査請求の手続が必要になります(同48条の3)。
貴社が有している技術につき特許権の付与まではされずとも、単に他者に特許権を取得させず、貴社が当該技術を使用し続けるという目的のみあれば、出願公開さえされれば、その時点で当該技術は「公知の技術」となるので、審査請求の手続を経ることなく目的を達成することができます。
5. 解決事例/商標権譲渡契約により、商標権を確保した事例
ご依頼前
企業Xがその製造販売する飲食料品Aの販売のために長年使用していた商標Bについて、飲食料品Aを含む指定商品・役務を範囲としてYが商標出願し、商標登録を行いました。
企業Xは、このままでは、商標Bを使用して飲食料品Aを販売することができないことから、当事務所の弁護士に相談・依頼し、商標登録された商標Bの商標権を譲り受けたいと考えました。
ご依頼後
当事務所の弁護士が企業Xの代理人となり、Yとの間で、商標Bの商標権譲渡の交渉・協議を行いました。
商標権譲渡の交渉では、商標権譲渡の対価が重要なテーマとなりました。
当事務所の弁護士は、商標権譲渡の対価を計算式を用いて算出し、具体的にYに説明するなどしました。
その結果、Yが企業Xに、商標Bの商標権を譲渡することなどを内容とする商標権譲渡契約書が締結され、商標Bの商標権は、Yから企業Xに譲渡されました。
当事務所の弁護士は、商標Bの商標権譲渡に係る移転登録手続を企業Xを代理して行い、商標Bの商標権は、確定的に企業Xに帰属することになりました。
ご依頼から商標権譲渡契約の締結、商標権移転登録まで、約6か月の期間で解決することができました。
企業Xは、安心して商標Bを使用し、飲食料品Aを販売し続けることができるようになりました。
6. ご依頼、ご相談、お問合せについて
このように、知的財産権の発生から利用という局面においては、複雑な手続や緻密に検討された契約の締結が求められますので、専門技術的な知見を有した弁護士によるサポートが不可欠といえます。
弁護士法人萩原鹿児島シティ法律事務所では、知的財産権関連の法律相談を承っております。弁護士への相談ないし依頼をご希望の方は、電話又はEメールによる相談予約をお願いいたします。
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