嫡出でない子の相続分
先日、「平成18年に死亡した人に婚姻外の子供がいる場合、相続分はどうなるんだっけ??」と疑問に思うことがありました。
相続を扱うことはわりと多いのですが、民法の改正が行われた部分であり、『いつ発生した相続か』、が重要なポイントになり、ちょっと躊躇したため、調べました。
平成25年12月5日に民法の一部が改正され、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子(嫡出でない子・非嫡出子)と嫡出子の相続分は同等とされました。
これは、平成25年9月4日の最高裁判決を受けての改正であるため、改正法が適用されるのは平成25年9月5日(最高裁大法廷決定の翌日)以後に開始した相続についてです。
しかし、平成25年9月4日の最高裁判決は、「本件規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた」としています。
そこで、平成13年7月1日から平成25年9月4日までに開始した相続について、嫡出でない子がいる場合の取り扱いが問題になります。
結論としては、その間に開始した相続について、すでに遺産分割協議が終了している場合は、その効力は覆りませんが、まだ、遺産分割協議が行われていない場合は、最高裁判決に従がって、嫡出でない子の相続分も同等として取り扱わなければなりません。
法務省の解説がすっきりまとめられていて分かりやすいです。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00143.html
特にQ4の【最高裁決定の適用範囲について】の図が分かりやすいと思いました。
この論点は、実務においてしょっちゅう出てくるわけではないのですが、たまにでてきた時に戸惑うので、今回整理できてよかったです。
相続人の相続分に関する条文をいちいち確認するということはないので、改正後に見たことがなかったのですが、あたりまえですが、六法を見たら民法第900条第4号ただし書き前半部分がちゃんと削除されていました。
第900条第4号ただし書きの、「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする」は改正されたわけではないことに注意が必要です。
そこで、最初の疑問の答えは、「まだ遺産分割協議がされていなかったのであれば、嫡出でない子の相続分も同等」です。
司法書士 福元 雅代